投稿日:2021.11.01
2021年11月号
高齢化問題について
今回は高齢化における不動産の問題点についてです。
なんと長崎県の高齢化率は過去最高の30%を超えており全国で14番目の高さです。
そこで問題になるのが『高齢者のお部屋探し』です。高齢の方は年金暮らしや保証人が取れないなどでお部屋探しが難しい場合が多く、敬遠するオーナーさんも少なからずいらっしゃいます。
弊社の場合は近所に子供さんがいて何かあれば連絡が取れるなど、一定の条件を満たせば十分検討します。ちなみに何が問題かというと、一人暮らしの高齢者が亡くなると退去手続きに困るんです。契約解除の手続きや、残置物なども勝手に処分できません。相続人の方と連絡を取りたくても取れないケースなどがある為、身寄りのない高齢者は敬遠されがちです。
しかし、今年7月に入居者が亡くなった場合の委任契約を結べる『モデル委任契約条項』を国交省が策定しました。もし入居者が亡くなった場合、受任者が契約の解除や遺品の廃棄をできるようになります。相続人や居住支援法人や管理事業者などが受任者になれます。
そしてもう一つ、事故物件についてです。 以前少しお話ししましたが、事故物件についてのガイドラインが先月、国交省から出されました。 いわゆる室内で亡くなったお部屋の告知義務なんですが、今まで曖昧だった基準がはっきりしたわけです。
・2,3年経てば告知しなくてもよい。
・一度入居者が入れば告知しなくてもよい。
また、死因についても今回のガイドラインでは『自然死』、『日常生活における不慮の死』については入居希望者には告知しなくてもいいという内容のものです。これ以外の死因に関する物件を事故物件としましょうということです。
事故物件の場合は発生から概ね3年という目安です。賠償責任の賃料請求の判例も今後変わってくるでしょう。この背景には先ほどお話しした自然死リスクが高い高齢の方の賃貸物件への入居のハードルを下げる目的もあります。
法的拘束力はありませんがリスクを避けたいという家主さん側にとってもこうしたガイドラインは一つの目安となるのでとってもいいと思います。今後、法整備によって社会問題とされる事案が少しずつ解決していくと思います。
今回はこの辺で。