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投稿日:2021.07.01

2021年7月号

「善管注意義務」について

賃貸契約書には善管注意義務という言葉が出てきます。いわゆる賃借人に課せられた注意義務のことです。
善管注意義務となる例はボーダーラインを設定することが難しく、基本的には「借りた部屋を、自分のものと思って自分のものと同等、またはそれ以上に丁寧に大切に扱ってくださいね」といった意味になります。「わざとじゃないから」といって汚れや不具合を放置した結果、さらに部屋の状態を悪くしてしまったということであれば、善管注意義務違反になります。   

善管注意義務違反として考えられるものには以下のようなものがあります。 

 

エアコンからの水漏れを放置し、壁や床が腐食したりシミが出来たりした。 

・水回りの掃除を怠り、水アカやカルキがこびりついて取れない。 

・たばこのヤニが壁に染みついてしまった。 

・風呂の水を出しっぱなしにして水漏れを起こした。 

・鍋を火にかけているのを忘れて壁を焦がした。 

・トイレや風呂に流してはいけないものを流して詰まらせた。 

・たばこを床に落としてクッションフロアシートや畳を焦がした。 

 

いずれも、普段から手入れを行い生活する上で気を付けておけば予防できる内容ばかりです。あくまでも「一般的に求められる内容」なので、専門的な知識がないと対応できないような事例は除外されます。

ただ、冒頭でもお話しましたが、個別のケースに対する細かな規約があるわけではないので、大家さんや築年数次第で対象範囲が変わってきます。状態は同じでも善管注意義務違反として原状回復を求められる場合と「少しの汚れだからクリーニングのついでに直しますよ」と、特に違反として扱わないこともあり得ます。退去の際に過失の対象になるかならないかが入居者にとって気になるところです。

そのためには、部屋の印象を良くしておくことが一番。普段から掃除をこまめに行い、退去時に掃除をきちんとしてお返しするなどして「部屋を大切に使っていた」となると随分違ってきます。年間500件以上の退去を行っていますが使い方も千差万別・・・。本当に綺麗に使っていただいて退去されると本当に嬉しく感じますし、以前の生活そのままみたいな感じで退去されると残念な気持ちになります。原状回復工事でトラブルになるのは後者の方が多いような気がします。

貸していただきありがとう!借りていただきありがとう!

こんな関係でいたらお互い幸せだと思うのですが・・・。


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